専門家に聞く オピニオンコラム粂川 好男(くめかわ よしお)先生

虫よけ剤はお子さんにも使える有効な予防策

虫刺されシーズンは、ゴールデンウィーク前後からスタート

少し温かくなった5月のゴールデンウィークや6月の梅雨シーズン頃から、虫刺されの患者さんが多く来院するようになります。
虫刺されは自分で動き回れるようになる2歳から5歳の幼児に多いのですが、赤ちゃんでもベビーカー使用中に刺されることがあります。遠出など何か特別なことをしていたわけではなく、多くは家の近くでの散歩や、公園で遊んでいて刺されています。

虫刺されは、かゆいだけではすまないこともある

お子さんの場合は何か所も一気に刺されることが多く、腫れが強いこともあります。怖いのは、虫刺されを掻いたところからバイキンが入って、「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」や「とびひ」になってしまうこと。蜂窩織炎は大人にもよく起こる化膿性炎症で、赤く広がって重症になることも少なくないのです。
また、昨年話題になったデング熱に感染する恐れもあります。爆発的に広がることはないと思いますが、注意は必要。デング熱については、専門家の講演会なども開かれるようになっており、医師の間でも関心が高まっています。

虫よけ剤はお子さんにも使える有効な予防策

虫に刺されないためには、草木や排水溝の近くなど、蚊の発生源に近寄らないことが一番。しかし子どもにとって、外遊びは大切です。外に出る時は、長袖・長ズボンを着用する、あるいは、虫よけ剤を利用するのが良いでしょう。小さいお子さんには、親御さんが虫よけ剤を自分の手に取ってから塗ってあげましょう。塗りムラに注意して、顔にも塗ってください。虫に刺されて顔を腫らしている1~2歳のお子さんが来院することがあります。
虫よけ剤を肌に塗ることを危険だと思っているお母さんが多いようですが、基本的に生後6カ月以上なら使用して問題ありません。虫よけ剤を選ぶ時には、虫よけ効果が認められている、ディート成分を含んだものを選ぶのも手です。ディートは濃度によって効果の持続時間が異なり、国内での最高濃度は12%で医薬品としても認められています。ただし、最初に使用する時やアレルギーの心配があるなら、まずは少しだけ塗って様子を見るのが良いでしょう。塗布後30分以内に赤くなるようなら、使用は控えてください。
夏の外出は、虫刺されとともに、紫外線も大きな問題。外出時は、虫よけ剤と日焼け止めの両方をつけることを習慣にして欲しいですね。塗る順番は、先に日焼け止め、その後に虫よけ剤です。どちらも汗で流れがちなので、2~3時間おきに塗り直しましょう。

粂川 好男(くめかわ よしお)先生
杉並堀ノ内クリニック 小児科院長・小児科専門医

信州大学医学部卒業後、国立国際医療センター小児科研修医・レジデントとしてアレルギー、感染症、小児癌、心身症、救急医療、未熟児医療など、小児科全般に渡って臨床経験を積む。その後、愛和病院小児科医長を経て、現在に至る。こどもの心相談医。

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