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専門家に聞く オピニオンコラム水野 達男(みずの たつお)氏
経済のグローバル化や地球温暖化が感染リスクを拡大
経済のグローバル化がウイルスの侵入を加速
2014年にデング熱が流行した原因として、経済のグローバル化が考えられます。近年はビジネスや旅行で世界中の人々が行き来する機会が増えました。かつてデング熱は、アジアからの復員兵や漁船が持って帰ってきたものですが、今は観光客など一般の人が持ってくるようになりました。日本では東京五輪に向けて2000万人、さらに2030年までに、3000万人の外国人の観光渡航増を掲げていますし、日本人の海外渡航者も増加傾向にあります。デング熱には潜伏期間があり、感染しても発症せずにそのまま入国したり、帰国したりすることがあり、ウイルスの侵入を水際でとめるのは不可能なので、蚊に刺されないよう注意が必要です。
蚊の生息エリアが広がっている
地球温暖化が進み、日本の平均気温が上昇しています。こうした気候変動によって、蚊が生息できるエリアが以前よりも広がっています。デング熱を媒介するヒトスジシマカは、もともと日本に多く生息していますが、その範囲がさらに拡大しているというわけです。ウイルスを媒介できる蚊がいるところに感染源となるウイルスが入ってくれば、感染拡大の可能性がより高まるということです。このような環境変化は今後も進むと予想されます。2014年に日本国内でデング熱の感染が発覚したのは8月ですが、2015年以降も同じことが起こる可能性が十分にあります。もっと早い時期に起こるかもしれません。
“蚊に刺される” = “感染症リスクの可能性あり”と認識すべき
世界でデング熱の発生が増えています。蚊の感染症が多い国では、蚊に刺されたら「感染症にかかる」という認識が強く、積極的な蚊の予防対策が進められています。一方、日本は蚊に刺されたら、「赤くなる、かゆい」という程度の意識しか持たない人が圧倒的に多いようです。経済のグローバル化や地球温暖化の影響を考えると、だれでも蚊による感染症を発症する可能性があります。今後は日本も、「蚊に刺されることは、感染症リスクの可能性あり」という認識をもって、積極的に蚊の予防対策をしなければなりません。
水野 達男(みずの たつお)事務局長
NPOマラリアノーモアジャパン 専務理事
北海道大学農学部卒業後、外資系企業を経て住友化学入社。ベクターコントロール事業部長就任後、マラリアの感染を防ぐ蚊帳「オリセット・ネット」の事業責任者となる。2012年、NPOマラリアノーモアジャパン立ち上げに伴い、専務理事兼事務局長に就任。
専門家に聞く オピニオンコラム
- 嘉糠 洋陸(かぬか ひろたか)先生
- 東京慈恵会医科大学
熱帯医学講座教授
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専務理事
- 川上 裕司 (かわかみ ゆうじ)先生
- エフシージー総合研究所 暮らしの科学部・部長、
環境科学研究室・室長 東京家政大学大学院非常勤講師
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小児科院長・小児科専門医