蚊以外の害虫リスク

マダニによる感染症

蚊の他にも感染症を媒介する害虫はたくさんいます。近年では、マダニによる感染症が増えています。

患者急増中!重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

資料●フタトゲチマダニ
出典:厚生労働省

マダニによる感染症では、2013年に重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が国内で初めて確認されました。2014年10月15日までに累計104人の患者が報告され、30人が死亡しています。症状は、発熱や消化器症状など他の感染症と変わりません。SFTSにはまだ治療薬がないため、重症化すると致死率が高いのが怖いところです。

またマダニが媒介する感染症に「日本紅斑熱」もあります。この患者が、2014年に初めて200人を超え、1999年以降過去最多になりました。発熱や発疹などの症状が現れますが、一般的に予後は良好です。

マダニは、日本には47種類生息していますが、SFTSを媒介するのはタカサゴキララマダニとフタトゲチマダニ、また、日本紅斑熱を媒介するのは、キチマダニやフタトゲチマダニと考えられています。ダニは4~5ミリほどの大きさですが、血を吸うと1センチくらいになります。

感染症 重症熱性血小板減少症候群(SFTS) 日本紅斑熱
症状 発熱、倦怠感、消化器症状など。重症化して死亡することもある。 発熱、発疹
潜伏期間 6~14日 2~10日
発生時期 5~8月 4~10月
感染地域 西日本 西日本
対策 対症療法のみ。咬まれないようにすること。 抗菌薬治療。咬まれないようにすること。
資料●マダニが媒介する主な感染症
出典:国立感染症研究所「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」中心に作成

ツツガムシによる感染症

ツツガムシによる感染症で、年間400人程度の患者が全国各地で発生しています。

油断禁物!つつが虫病

資料●ツツガムシ
出典:東京都福祉保健局

ツツガムシは野外にいるダニで、つつが虫病を媒介します。つつが虫病は、ツツガムシリケッチアによって引き起こされる感染症で、草むらなどでツツガムシの幼虫に刺されると、感染します。感染しやすい時期は、ダニの活動する春〜初夏と秋〜初冬で、最近は毎年500人程度の感染の報告があります。かつては山形県、秋田県、新潟県などで夏季に河川敷で感染する風土病でしたが、戦後新型つつが虫病が現われ、北海道、沖縄など一部の地域を除いて全国で発生がみられるようになりました。5〜14日の潜伏期ののち、高熱とともに発症します。皮膚には特徴的なダニの刺し口(かさぶた)がみられ、その後数日で体幹部を中心に発疹が出ます。治療が遅れると重症となり、死亡することもあります。